HTML5プロフェッショナル
認定試験 レベル1 認定者
株式会社シーエー・モバイル
ソーシャルメディアDiv
深見 将一さん
当社は、「インターネット広告事業」を筆頭に、EXILEなどアーティストのコンテンツを制作する「コンテンツメディア事業」、ソーシャルゲームを制作する「ソーシャルゲーム事業」の3つを主な事業としています。
2013年に入社した当初、僕は主に企画を行うプロデューサー職として配属が決まっていたのですが、どうせやるならとエンジニア職がやりたいと人事部に申し入れたところ、幸いなことに「ソーシャルメディアDiv.」に受け入れてもらえました。さらにその後、すぐに新しいソーシャルゲームのプロジェクトを任されることになり、以降、現在に至るまで、フロントエンジニアとしてゲームのアニメーションやレイアウト、UIなどの制作を担当しています。
もともとエンジニア志望でしたが、大学では土木工学が専攻でしたからWebの経験はほとんどなかったため、本格的にHTMLやJavaScriptを学んだのは会社に入ってからでした。ふつう、何の経験もなしにいきなりエンジニアにはなれないものです。しかも、入りたての新人が、プロジェクトの企画からリリースまでを通しで担当することなど、さらにありえません。そういう意味で僕はとても「運がよかった」のだと思います。
2013年の5月からスタートしたこのプロジェクトで、僕はソーシャルゲーム制作の全工程を体験することができました。入社1年目の社員がめったにできない貴重な体験だったと思っています。僕にとって未体験のことばかりでしたが、それがとても刺激的で仕事が楽しくてしかたありませんでした。
ところが、担当していたゲームのリリースが見えてきて、プロジェクトが一段落ついた昨年の12月、そんな風に「運がよかった」僕に大事件が起きました。燃え尽きてしまった感じというか、自分の中で次の目標が見つからなくなってしまったのです。これまでがむしゃらに全速力で回っていた歯車が、突然止まってしまったように、僕の心はしんと静まってしまいました。
プロジェクトを任されてはいますが、僕はまだ入社1年目の新人です。経験もスキルもまだまだ足りません。突然やってきたスランプに僕は困り果てました。そこで週1回の面談で仕事の進め方やスキルアップについて相談に乗ってくれていた担当のトレーナーに、さっそくそのことを相談したところ、「自分のスキルを高めるためにも、この機会に前から勧めていた認定試験に挑戦してみたらどう?」とアドバイスをいただきました。トレーナーからは、これまでもLPICの認定取得を勧められていたのですが、僕は今の業務にLPICが直結しないことを理由に、受験を延ばし延ばしにしていたんです。しかし、山に登れば見たことのない風景が見えてくるかもしません。
そこで、あらためてLPICの試験を調べたところ、なんと2014年の1月から『HTML5プロフェッショナル認定試験 Level1』がスタートするではありませんか。これはもう受けるしかない!と思いました。しかも、まだ誰も持っていない手付かずの資格です。俄然、やる気が出ましたね。どうせ取るなら最初の合格者になってやろうと思い、準備を始めました。
僕が今、担当しているゲームは、異能☆少女カードバトル『82Hブロッサム』(ハニーエイチブロッサム)という男性をターゲットにした「萌え系」ゲームで、2014年1月28日にスマートフォン向け「Ameba」で提供開始しました。僕自身は、萌え系にはあまり興味はないのですが、制作プロセスの企画、コーディングにはかなりハマりました。
ソーシャルゲームには、様々な最新技術が使われています。また、ゲームの動きやストーリーを組み立てて行く上で、企画の段階での設計は非常に重要です。ここがしっかりできていないと工数に無理が生じてしまい思い通りのクオリティを実現出来ない可能性が出てきます。さらに決まった内容を実現するためには、洗練されたコーディングと的確な命令を繰り出すプログラムが必要です。
現在、ユーザー数は順調に増えていますが、今後、イベントや広告でさらに増やす予定です。イベントは、季節の行事にちなんだもので、ゲーム内に現れるロボットを沢山倒してイベントポイントをたくさん集めるものや、ユーザー同士がチームを作りお互いにバトルして順位を競うものなど、様々な企画を用意していくつもりです。
イベントを開発する際は、以前のイベントの結果や、analyticsツールを用いてクリック率や離脱率といった数値を見ながら、ここに動線を引きたいからレイアウトを変更した方がいいよね、と言った意見を出し、新しい動作や画面をコーディングしていきます。こういった、ゲームのブラッシュアップも非常に面白い作業ですね。
今、ソーシャルゲーム業界は、パズドラが2013年の世界売上No.1アプリなったように収益でも世界レベルに達しています。
また、パズドラのように全てを自社で作るのではなく、強力なコンテンツを持っているメーカーとSAPと呼ばれるアプリを提供するベンダーが手を組みサービスをリリースするといったパターンが多くなってきています。つまりこれまで培った完璧なコンテンツを提供し、SAPは自らの提供するBIシステムでユーザーの分析を完璧に行い、リアルタイムのデータを収集してマーケティングにつなげて行くという代物なのです。
この流れは始まったばかりですが、高度なクオリティとマーケティング分析を併せ持つソーシャルゲームは、すでに続々と登場しています。これらのゲームは、コンテンツからコンテキスト、マーケット分析にいたるまで一気通貫で行うため、グローバル市場での競争力も非常に高いのです。
ソーシャルゲームは、とくにユーザーから飽きられないようにニーズの把握やリリースのスピードが速いのが特徴です。そういった点からも、ゲーム制作に携わるエンジニアに対しては、先端的で高度な技術が求められます。HTML5は、ソーシャルゲームを進化させ、複雑な動きや仕掛けを実現するためには欠かせない技術となっています。また、製作者にとってもHTML5を使うことで、作業効率を大幅に向上させることができるのです。
まず、ユーザーの反応がリアルタイムに返ってくることですね。ユーザーにより良い体験をしてもらうための改修などを行う際は、社内のUIチームで話し合った内容はもちろん、ユーザーがSNSで発信している意見も参考にすることがあります。そこから洗練した改修案を開発しリリースすると、すぐさまユーザーから「あ、使いやすくなってる!」という反応が返ってくるわけです。こういったユーザーのゲームに対する「感触」が手に取るようにわかることが、Webエンジニアとしてソーシャルゲームを制作する面白さだと思います。また、不具合があった場合も、ユーザーからのつぶやきですぐに反応がありますから、素早い対応が可能です。
もう一つは、やりがいというか自分の成長を自覚することができるという意味ですが、昔自分が書いたコードを見るたびに「このコード汚っ!」と思う瞬間があることです。ゲームを更新していくうちに、過去に自分が作ったページを修正することがありますが、今見ると、コードが拙いというか、きれいじゃないんですね。しかし、そう思えるのは、ある意味で自分が成長した証拠でもあると思っていて、過去の自分にムカつきながらも嬉しいことなんです。
それとWebって作り方がたくさんあるというか、例えば画像を横1列並べるだけでもいくつも方法があるんですが、そういった表現をしているコードを沢山見ているうちに「これはうまい!」と感じるものがあったりします。そういった感動は、作る側だけが味わえるものだと思います。
JavaScriptについては、jQueryなどのスタンダードになっているライブラリと、ピュアなjavascriptの部分が、最初から混在してしまわないようにちゃんと区別して覚えるのに苦労しました。
ただ、経験を重ねていくうちに、自分の知識のストック量が増えていきコードの理解はもちろん、ライブラリは自分で試して、最善の方法・改・組み合わせを模索していくことができるようになりました。
様々なライブラリを見ていくと、人の書き方や、ソースは千差万別ですが、その其々にメリット・デメリットがあってそれも勉強になると思います。
私がWebエンジニアになって、いちばん幸運だったことはやはり、ひとつのゲームを企画の立ち上げから完成させてリリースするまで、ひとつのプロジェクトをすべて任せてもらえたことですね。これは、入社1年目の新人だったら普通はありえないことです。
しかも、基本となるJavaScriptにもしっかり触らせてもらっていました。
JavaScriptはエラーなどがでたらゲーム全体に影響が出るので、ふつうは新人など触らせてもらえませんから本当にありがたいことだったと思っています。でも、その代わり誰のせいすることもできませんから、責任の重さもひしひしと感じました。
HTML5そのものに関しては、日常の業務でガッツリ使っていましたから自信がありましたが、むしろ試験範囲の「Webの基礎知識」という分野が僕の最大の弱点でした。
これまでサーバなどの知識を一切学んだことがなかったので、HTTPプロトコルすらよく理解できておらず、本当に0からのスタートで勉強するのにもとても苦労しました。
そこで会社の先輩にずっと貼り付いて質問攻めにしながら試験勉強を続けたのですが、勉強してみて初めてその知識の重要性に気づきました。ゲームにかぎらず、自分の作品をネットを通して世界に発信していくためには、Webの知識が必ず必要になります。その意味でも、この試験を受けたことで、HTML5だけでなく、結果として関連するWebの知識を集中的に学べたことは、自分にとって最大の収穫だったと思っています。
HTML5の認定試験はスタートしたばかりなので、まだ教科書や問題集がありません。そこで僕はまず、LPIが出展するhtml5のカンファレンスにボランティアとして参加させてもらい、ブースや講演を手伝いながら、HTML5認定の試験範囲を確認したり、可能な限りの資料をもらって帰ったりして情報を集めました。
また、HTML5のWikiを参考にしてEVERNOTEに重要な要素を全部書き出し、Webを検索しまくって自分だけの試験対策資料を作りました。また、技術解説セミナーがあると聞けば、それに参加して予想問題集を購入して、それをひたすら読みました。
そのころ、担当していたソーシャルゲームはすでにひと通り完成して調整段階に入っていましたが、その段階で仕様が変更になったり、社外に依頼していたデバックが返ってきたりで、修正に追われ、仕事もかなり忙しかったです。そのため、本来朝10時出社のところを7時に出勤したり、通勤で電車に乗っている時間を使ったりして、勉強時間を作りました。どちらかと言えば、デスクの前を人が通っただけでも集中できないタイプなので、早朝まだ誰もいないオフィスでの勉強がいちばんはかどりましたね。そんな感じで12月の半ばから年末年始にかけて勉強していましたが、実際に集中して勉強したのは1週間ぐらいだったと思います。
HTML5プロフェッショナル認定試験の受験方式はコンピュータベーストテスト(CBT)で、受験会場や受験日時を自由に選択して受験できます。出題方式はマウスによる選択方式がほとんどで、キーボード入力問題も多少出題されますが、実技や面接はありません。試験は90分で、11時から受験した私は、無事12時半には回答を終えました。
試験に臨むにあたって、会社の先輩から「LPICの試験では終了したらボタンを押した後、試験会場から外に出て受付で結果をもらうんだよ」と教えられていた僕は、すごく安易な気持ちで「終了」ボタンを押したんですが、ボタンをボチッと押したとたん、驚くほどの早さで「点数」と「合格」が表示されたのには驚きました(笑)。
ただ、日本でいちばん最初に合格しよう!と張り切っていたのですが、テストセンターごとに異なる初日の試験日程を見落としてしまい、1月6日からスタートしていたのに、1月8日に受験したために、結局、最初の合格者になれなかったのが悔しいです(笑)。
今回、Level1の試験を受けてみて、いちばんメリットを感じた点としては、自分のスキルに自信がついたということでしょうか。今でも実際に、ゲームの根幹となる部分のコードも触らせてもらうなど、責任のある仕事を任せてもらっていますが、HTML5の認定試験を経験したことで、自分のコーディングスキルや会議での意見に自信が持てるようになりました。
またLevel1は、マルチデバイスに対応した静的なWebコンテンツを HTML5を使ってデザイン・作成するための基礎的なスキルが対象でしたが、実際の私の仕事では、動的なコンテンツやJavaScriptについての知識やスキルが必要です。ですから、システム間連携や最新のマルチメディア術に対応した Webアプリケーションや動的Webコンテンツの開発・設計スキルを対象とするLevel2は、とても重要だと思っています。Level2の試験は、2014年の12月にはスタートする予定と聞いています。当然、受験するつもりですし、今度こそいちばん最初の合格者になりたいです!(笑)
それ以外では、サービス企画に興味があります。私が入社してすぐにエンジニア職を希望したのも、Webの知識とスキルをサービス企画に活かしたいと思ったからです。Webの作りを知っている人と知らない人とでは、企画の立て方も全く違ってくると思います。HTMLやJavascriptの知識やスキルがあればモックも自分で作って提案することができます。これからも広く知識を溜めて、いままでにない新しいサービスを作りたいというのが次の私の目標です。
サービスはビジネスに直結していますから、やりがいもあります。僕は、社会人になりたてのころとあるSNSで「社会人の方が学生より5億倍楽しい!」とつぶやいたことがありますが、それは本心です。学生時代にはサッカーチームと共同イベントを企画実行したり、学生向けの就活イベントやフリーペーパー制作なども行いましたが、会社に入ってからのリアルなビジネス体験での緊張感や達成感は、学生時代とは比べ物になりません。
また、世界を取り巻く環境は常に進歩していてゲームという枠にとらわれず、Webという場所に対して、ユーザーの要求は高くなる一方で、非常にリッチなコンテンツが求められています。
また、広告なども、Webだけでなくデジタルサイネージと呼ばれる液晶ディスプレイを使うなど展開領域がどんどん広がっています。
もしかするとそれを全てWebで制御していくことが出来るようになるかもしれません。現にhtml5とデバイスを掛けあわせて制御している例もあります。
そこは僕たちの会社が活躍できる場所ですから、これからもWebを使ったコンテンツの充実と品質の向上を目指していきたいと思っています。
まず、Webエンジニアをめざすのであれば、ぜひこのHTML5の認定試験は、確実に受けておいたほうがいいと思います。試験勉強をする過程で、Webサービスやコンテンツの制作に不可欠な知識が身に付きますし、それに伴って、自分の仕事にも自信が持てるようになるからです。
ただ、この試験は学生にとっては、難しい試験といえるかもしれません。というのは、HTML5に興味があっても、試験に必要なWeb環境を整備するがたいへんだからです。私自身、会社の環境かなかったら必要な知識を体験的に網羅できなかったと思います。しかし、入社して1年も経たない僕でも合格できたことを考えると、環境さえ整っていれば取得しやすい資格ですし、そうした仕事をめざしている人には必要な資格だと思います。
今、世の中にはさまざまなWebサービスや動的なコンテンツが溢れていて、利用する人たちはそれをあたりまえのように感じています。しかし、それを作って問題なく動かすというのは実にたいへんなことで、高度な知識と技術があってこそ実現できることなのです。僕たち作り手はそこで苦労しているわけですが、HTML5にはその苦労を軽減してくれるというメリットもあります。
とくにWeb利用の中心が、スマートフォンやタブレットなどモバイルデバイスにシフトしている中で、レスポンシブ機能は必要不可欠です。また、私が今携わっているゲームやアニメーションの世界のように、Webサービスやコンテンツを魅力的に見せるためには、自由度の高いHTML5でなければ実現できないことがたくさんあります。
また、HTML4ではできなかったvideoタグを使った動画の埋め込みや、canvasを使った自由なアニメーションの表現などもHTML5では可能ですし、付加された新たな機能をうまく使えば、工数や時間を短縮することが可能です。その分、企画や仕様設計に時間と労力を注ぐことができますから、より品質の向上をめざすことが可能になります。
HTML5は、Webエンジニアにかぎらず、Webでなにかを実現したいと思っている人ならば、ぜひ学ぶべき知識だと思います。
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